貸家建付地とは?土地の評価が下がる理由をやさしく解説
📚 読み方は、貸家建付地(かしやたてつけち)。
「相続税を下げるために、アパートを建てると良い」という話を聞いたことはありませんか?
その背景にある考え方のひとつが、今回のテーマである「貸家建付地」です。
名前だけ聞くと難しそうですが、相続・土地活用・賃貸経営に深く関わる、とても重要なポイントです。
この記事では、専門用語をできるだけ避けながら、図がなくてもイメージできるように、やさしく解説していきます。
💡 貸家建付地とは?まずはイメージから
1-1. 自分で使う土地か、人に貸している土地かの違い
「貸家建付地(かしやたてつけち)」とは、自分の土地の上にアパートや貸家を建てて、他人に貸している土地のことです。
同じ「自分名義の土地」でも、使い方によって次のように呼び方が変わります。
- 自分やご家族が住んでいる土地 → 自用地(じようち)
- アパートや貸家を建てて、人に貸している土地 → 貸家建付地
つまり、自分で使っているか、人に貸しているかの違いで、税金を計算するときの取り扱いが変わってきます。
1-2. 「貸家建付地」という言葉を分解すると?
難しく感じる言葉も、分解するとイメージしやすくなります。
- 貸家 … 人に貸している家
- 建付地 … 建物が建っている土地
つまり、「貸家が建っている土地」=貸家建付地という意味です。
土地の所有者はご自身ですが、建物を通じて入居者が生活している土地、というイメージを持っていただくと分かりやすいと思います。
🧾 なぜ貸家建付地は土地の評価が下がるの?
2-1. 土地の評価は「どれくらい自由に使えるか」で決まる
相続税や固定資産税を計算するとき、土地には「評価額」がつけられます。
この評価額は、単純に「面積×立地」だけで決まるわけではなく、
どれくらい自由に利用できるかという点も考慮されています。
💡 自由度が高い土地と低い土地のイメージ
- 更地(誰も住んでいない)… 建物もなく、売却・建築・駐車場利用など自由度が高い
- 自宅の建っている土地 … 自分の意思で建て替えや売却がしやすい
- 貸家建付地 … 入居者がいるため、勝手に立ち退きを求めることはできない
このように、入居者の権利がある分だけ、土地の自由度は低くなると考えられます。
その結果として、貸家建付地は自用地よりも評価を下げて計算する、という仕組みになっています。
2-2. 「約21%評価が下がる」とはどういうこと?
実務上は細かな計算式がありますが、ざっくりとしたイメージとして
「貸家建付地にすることで、土地の評価額が約21%下がる」とよく言われます。
これは、入居者がいるために自由度が制限されている分を評価で調整している、と考えていただくと分かりやすいと思います。
🏠 具体的なイメージで見る貸家建付地
3-1. 5,000万円の土地が3,950万円になるケース
ここでは、数字を使ってイメージをつかんでみましょう。
たとえば、ある土地の評価額が5,000万円だとします。
| 土地の状態 | 評価額のイメージ | ポイント |
|---|---|---|
| そのまま更地(または自宅のみ) | 5,000万円 | 自由に売却・建築しやすく、評価はそのまま |
| アパートを建てて貸家建付地に | 約3,950万円 | 入居者がいる分、自由度が下がり、評価は約▲21% |
この場合、評価額は5,000万円 → 3,950万円となり、
1,050万円分、評価額が下がるイメージです。
相続税は、財産の合計額や続柄などによって税率が変わるため一概には言えませんが、
仮に20%の税率が適用されたとすると、
- 1,050万円 × 20% = 約210万円 相続税が軽くなるイメージ
あくまでイメージではありますが、貸家建付地にすることで数百万円単位で相続税が変わる可能性がある、ということが伝われば十分です。
3-2. 「節税効果」だけでなく「家賃収入」もある
貸家建付地の特徴は、土地の評価額が下がることで相続税が軽くなるだけでなく、
同時に家賃収入が入ってくる点にあります。
- 毎月の家賃で固定資産税や管理費、ローン返済をカバーできる可能性がある
- 将来、相続人さまの安定収入源として活用できる
- 更地のままよりも、土地を「働かせる」使い方ができる
このように、貸家建付地は「相続税対策」+「土地活用」を同時にかなえられる選択肢のひとつと言えます。
⚠ 注意!貸家建付地にもデメリットはある
4-1. 入居者がいる間は自由に使えない
⚠ 自由度が下がることはメリットでもありデメリットでもある
評価額が下がる背景には、「自由に使えない」という事情があります。
そのため、次のような点には注意が必要です。
- 「やっぱり売りたい」と思っても、入居者がいるとすぐには更地にできない
- 建て替えや大規模な用途変更には時間と費用がかかる
- 買主さまも「入居者付きの物件」として購入することになり、買い手が限られる可能性がある
つまり、自由度が下がる代わりに評価が下がるという性質は、
メリットであると同時に制約でもあるということです。
4-2. 空室リスク・家賃下落リスクがある
アパート経営には、どうしても空室リスクがつきものです。
- 入居者が集まらないと、家賃収入が想定より大きく下回る
- 周辺に新しい物件が増えると、家賃を下げざるを得ないこともある
- 長期空室が続くと、固定資産税やローン返済だけが出ていく状態になる
「相続税が下がるから安心」と考えてしまうと、
実際のキャッシュフローが追いつかず、資金繰りが苦しくなるリスクもあります。
4-3. 修繕費・管理費などのランニングコスト
アパートや貸家は、一度建てれば終わりではなく、維持管理が必要です。
- 外壁・屋根の塗装や防水工事
- 共用部の照明・階段・廊下などの修繕
- 給湯器やエアコン、設備の交換
- 管理会社へ支払う管理委託料
こうした費用も含めて、長期的な収支をシミュレーションしておくことがとても大切です。
「建てたら終わり」のつもりで始めてしまうと、後から思わぬ出費に驚くことになりかねません。
💬 貸家建付地は「相続対策+土地活用」を両立できる方法
5-1. ダブルのメリット
ここまでの内容をまとめると、貸家建付地には次のようなダブルのメリットがあります。
- 土地の評価が下がる → 相続税の負担が軽くなる可能性
- 家賃収入が入る → 固定資産税やローン返済の助けになる
この2つが両立できるからこそ、相続税対策としてアパート経営が検討されるわけですね。
5-2. 「節税のためだけ」に建てるのは危険
⚠ 「節税」だけを見ると失敗しやすい
貸家建付地には確かに節税効果がありますが、
節税だけを目的に、需要や収支を考えずにアパートを建ててしまうのは大変危険です。
- エリアの賃貸需要・家賃相場
- 建築費・ローンの返済期間と返済額
- 将来の大規模修繕費用の見込み
- ご家族が賃貸経営を引き継げるかどうか
これらを総合的にシミュレーションしたうえで、
「相続税対策としても、収支の面でも無理がないか」を冷静に確認することが大切です。
🙋♀️ よくあるご質問(FAQ)
貸家建付地にすると、相続税は必ず安くなりますか?
一般的には、自用地に比べて土地の評価額が下がる方向に働くため、相続税が軽くなる可能性は高いです。
ただし、相続税は土地だけでなく、預貯金・建物・その他の資産を含めた全体で計算されます。
実際にどのくらい変わるかはケースによって異なるため、試算して確認することが重要です。
どんな土地でも、アパートを建てれば貸家建付地になりますか?
基本的には、自己所有の土地に建てた貸家・アパートを他人に貸している場合は、貸家建付地として評価されます。
ただし、建物の構造・用途・賃貸の実態などによって細かな取り扱いが異なることもあるため、
具体的な計画を進める際は、税務署や税理士、不動産の専門家に確認することをおすすめします。
相続が近づいてから慌ててアパートを建てても大丈夫ですか?
タイミングによっては評価に反映されることもありますが、
「駆け込みの相続税対策」として何も考えずに建ててしまうと、空室リスクや返済負担が大きくなる可能性があります。
アパート経営は長期的な視点が必要なため、数年単位の余裕を持って計画・相談することが理想的です。
✅ まとめ|貸家建付地は“自由が減るかわりに評価が下がる”土地
📌 貸家建付地のポイントおさらい
- 貸家建付地とは、自分の土地に建てた貸家・アパートを他人に貸している土地のこと
- 入居者がいるため自由に使えない分、土地の評価額が下がる
- その結果、相続税の負担が軽くなる可能性がある
- 同時に家賃収入も得られるため、「相続対策+土地活用」を両立できる
- 一方で、空室リスク・修繕費・管理の手間といったデメリットもある
貸家建付地は、上手に活用すればご家族の将来に役立つ資産づくりの手段になり得ます。
ただし、「節税できるから」といった理由だけで進めてしまうのではなく、
エリアの賃貸需要・資金計画・ご家族の希望などを踏まえて、総合的に判断することが大切です。
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