「定期建物賃貸借」とは?普通借家との違いと貸主・借主が注意すべきポイント
1️⃣ 「定期建物賃貸借契約」とは?基本の考え方
「定期建物賃貸借(ていきたてものちんたいしゃく)」とは、契約で定めた期間が終わると、自動的に契約が終了する賃貸借契約のことです。
これは、2000年に施行された「改正借地借家法」で導入された制度で、オーナー(貸主)の意思で契約を終了できる仕組みとして使われています。
たとえば、
- 契約期間:3年間
- 更新:なし
という内容で契約していた場合、3年が経過した時点で借主は必ず退去しなければなりません。
つまり、「更新がある」普通の賃貸契約(=普通借家契約)とは大きく違う点がここにあります。
2️⃣ 普通借家契約との違いをわかりやすく比較
「定期建物賃貸借契約」は、通常の「普通借家契約」とは大きく異なります。
ポイントをわかりやすく整理すると、次のようになります。
【普通借家契約】
・契約期間:自由に設定できる(多くは2年)
・更新:期間が満了しても自動更新される場合が多い
・更新拒絶:貸主が更新を拒むには「正当な理由」が必要
・契約書:書面でも口頭でも成立可能
・説明義務:特に法律上の説明義務はなし
【定期建物賃貸借契約】
・契約期間:原則1年以上(※1年未満も条件付きで可能)
・更新:自動更新は一切なし。期間満了で必ず終了
・更新拒絶:貸主の「正当事由」は不要
・契約書:必ず書面(または電子契約)で締結する必要あり
・説明義務:契約前に「更新がないこと」を書面で説明する義務あり
つまり、「期間満了=契約終了」になるのが定期借家契約の最大の特徴です。
貸主にとっては物件を確実に取り戻せるメリットがあり、借主にとっては「期限付き」で借りる安心感がありますが、契約内容をしっかり理解しておかないとトラブルになることもあります。
3️⃣ 定期建物賃貸借が使われるケース
この契約は、次のような場合によく利用されます。
- 👩🦳 高齢者が施設に入る間だけ自宅を貸したい
- 🏡 転勤の間だけ自宅を貸したい(戻る予定がある)
- 🏢 事務所・店舗など、期間限定のテナント利用
- 🏠 古民家など、短期間で貸したい空き家対策
つまり「ずっと貸すのは難しいけれど、一定期間だけ貸したい」ケースで活用されます。
貸主にとって、契約終了後に確実に物件を取り戻せる点が大きなメリットです。
4️⃣ 貸主(オーナー)が注意すべきポイント
📄 ① 契約書は「書面」で作成する必要がある
定期建物賃貸借契約は、書面での契約が法律上の必須条件です。
口頭で「定期借家にしますね」と伝えても無効になります。
電子契約(クラウドサインなど)も認められていますが、必ず書面の形式(PDF含む)を残すようにしましょう。
💬 ② 事前に「更新がない」ことを説明しなければならない
契約前に、借主に対して「更新がなく、期間が来たら必ず終了する契約である」ことを、書面で説明する義務があります。
これは「借地借家法第38条」に基づく規定です。
もし説明を怠ると、契約が普通借家契約とみなされる可能性もあるので注意が必要です。
宅地建物取引士が「重要事項説明」に含めて説明していても、「定期借家契約である旨の書面説明(第38条書面)」は省略できません。必ず別紙を用意し、借主様から署名・捺印をもらうかたちになります。
🕒 ③ 契約期間満了の通知タイミング
契約期間が終了する場合でも、終了の1年前から6か月前までの間に書面で通知しておくとトラブル防止になります。
(法律上は通知義務ではありませんが、円満な退去のためには非常に大切です。)
🏘 ④ 再契約のルールを明確に
期間終了後に再度貸す場合は、「再契約」として新しい契約を結ぶ必要があります。
自動更新ではないため、新しい契約書を作り直すことが原則です。
このとき、再契約手数料を設定しておくケースもあります。
5️⃣ 借主(入居者)が注意すべきポイント
📆 ① 契約期間をしっかり確認!
定期建物賃貸借は、契約期間が終わったら必ず退去になります。
「更新できる」と思い込んでしまうと、突然退去を求められて困ることも。
契約書の「契約期間」欄と、「定期建物賃貸借である旨の記載」を必ず確認しましょう。
🏡 ② 長く住みたい場合には不向き
定期借家は、あくまで「期間限定」です。
そのため、長期的に暮らしたい人や家族向きではないケースが多いです。
特に、子どもの学校や職場の都合で引っ越しが難しい場合は、普通借家契約を選ぶほうが安心です。
✉️ ③ 契約満了の通知が来たら早めに行動
貸主から「契約満了通知」が届いたら、すぐに次の住まい探しを始めましょう。
延長交渉はできる場合もありますが、貸主が再契約を望まない限り契約終了になります。
6️⃣ 貸主・借主それぞれのメリット・デメリットまとめ
定期建物賃貸借契約には、貸主(オーナー)と借主(入居者)それぞれにメリットとデメリットがあります。
どちらの立場にとっても一長一短があるため、契約前にしっかり理解しておくことが大切です。
【貸主(オーナー)のメリット】
・契約期間が終了すれば、確実に物件を明け渡してもらえる
・転勤や帰省など、一時的に家を貸したい場合に便利
・空き家を短期間だけ活用できる
・再契約の可否を自由に判断できる
【貸主(オーナー)のデメリット】
・長期的に安定した家賃収入を得にくい
・再契約のたびに契約手続きが必要
・入居者の入れ替えに手間やコストがかかる
【借主(入居者)のメリット】
・短期間だけ住みたい人には便利(転勤・単身赴任・期間限定勤務など)
・通常より家賃が安く設定されている物件もある
・再契約できれば、同じ物件に引き続き住める場合もある
【借主(入居者)のデメリット】
・契約期間が終われば、必ず退去しなければならない
・長く住みたい場合には不向き
・更新ができないため、引っ越しの予定を立てにくい
💡まとめ
定期借家契約は、貸主にとっては物件を計画的に管理できる契約であり、
借主にとっては期間を決めて利用できる柔軟な契約です。
ただし、「期間満了で終了する」という性質をお互いに理解しておかないと、「まだ住めると思っていた」「更新できると思っていた」といったトラブルにつながることもあります。
契約書や説明書をよく確認し、納得のうえで締結することが何より大切です。
7️⃣ 定期建物賃貸借契約を結ぶときの実務ポイント
契約書のタイトルに「定期建物賃貸借契約書」と明記する
契約条項内で「借地借家法第38条に基づく契約である」旨を記載
貸主・借主ともに署名捺印を行い、双方が控えを保管
契約期間・再契約・退去時の原状回復条件を明確に
事前説明書(更新なしの説明書)を作成し、借主の署名をもらう
これらをきちんと行うことで、トラブルを防止し、スムーズな契約管理ができます。
8️⃣ まとめ|「期間限定で貸す・借りる」なら定期借家契約が便利
定期建物賃貸借は、貸主・借主双方が期間をしっかり理解していれば非常に有効な制度です。
貸主にとっては、戻る予定のある自宅を安心して貸せる。
借主にとっては、短期利用でコストを抑えたいときに便利。
ただし、「更新がない」という点をきちんと理解して契約することが何より大切です。
トラブルを防ぐためには、契約書と事前説明書の内容をしっかり確認し、必要に応じて専門家(イーハル不動産会社や司法書士)に相談しましょう。
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