建物の固定資産税はどうやって減価償却で計算される?
🤔はじめに|建物の固定資産税は「年々安くなる」って本当?
家を建てたあと、毎年かかる「固定資産税」。
「建てたときは高かったけど、年々少し安くなっている気がする」という方も多いのではないでしょうか?
実はそれ、建物の価値が「減価償却」によって下がっているからです。
この記事では、難しく感じる減価償却の仕組みを、できるだけやさしく解説していきます。
🔸固定資産税の基本|土地と建物で考え方が違う
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課税される税金です。
ただし、土地と建物では税額の計算方法が異なります。
- 土地:地価(ちか)や地目などをもとに評価される
- 建物:建築費をもとに、経過年数で価値が減っていく(=減価償却)
つまり、土地は基本的に価値が大きく下がりにくいのに対し、
建物は「時間が経つと古くなる」ため、税の基になる評価額が徐々に減っていく仕組みです。
🔸減価償却とは?簡単にいうと「建物の老朽化の見積もり」
たとえば、新築の家はピカピカで価値が高いですよね。
でも10年、20年と経つうちに、壁や屋根、水回りなどが劣化して価値が下がっていきます。
この「価値の下がり方」をあらかじめ年ごとに計算する仕組みが、減価償却(げんかしょうきゃく)です。固定資産税の評価額は、この減価償却を踏まえて次のように求められます。
🔸固定資産税における建物評価額の計算式
実際の計算は次のようになります。
建物評価額 = 再建築価格 × 残存率
ここで使われる言葉をわかりやすく説明します。
- 再建築価格:その建物と同じものを、評価時点で新築した場合にかかる費用(=新築時の建築コストのようなもの)
- 残存率(ざんぞんりつ):築年数によって残っている価値を示す割合
🔸 残存率のイメージ
たとえば、建物が新築されたときの価値を「100%」とすると、
年数が経つごとに少しずつ価値が下がっていきます。
- 新築(築1年目):まだ新しいため、価値はほぼ100%残っています。
- 築10年:おおよそ80%前後の価値が残っているイメージです。
- 築20年:半分ほど、つまり50%程度まで下がるケースが多いです。
- 築30年:おおむね20%前後と、かなり評価が低くなります。
これはあくまで目安ですが、年数が経つほど「残存率」が小さくなり、建物の評価額が下がるという仕組みです。

🔸 構造ごとの「耐用年数」と減価償却の違い
建物の減価償却は、「どんな構造で建てられているか」によってスピードが変わります。
これは、国が定めている法定耐用年数(ほうていたいようねんすう)という基準に基づいて計算されます。
たとえば、木でできた家と、鉄筋コンクリートのマンションでは、
どちらが長持ちするかといえば、当然コンクリートのほうが長持ちしますよね。
そのため、木造は早く価値が下がり、RC(鉄筋コンクリート)造はゆっくり下がるという特徴があります。
- 木造住宅は、耐用年数がおおむね22年ほど。
経年劣化(けいねんれっか)が早いため、減価償却もスピーディーに進みます。
築20年を超える頃には評価額がかなり低くなります。 - 軽量鉄骨造(けいりょうてっこつぞう)は、耐用年数が27年ほど。
木造よりも構造がしっかりしているため、価値の下がり方はややゆるやかです。 - 鉄筋コンクリート造(RC造)は、耐用年数が47年と最も長く、減価償却のスピードもゆっくり。築30年でも一定の価値が残るケースが多いです。
つまり、建物の構造が強いほど「資産価値が長く続く」ということになります。
固定資産税の評価額もそれに合わせてゆっくり下がるため、同じ築年数でも「木造よりRC造のほうが税額が高い」ことがあるのです。
🔸減価償却のシミュレーション例(木造2,000万円の家の場合)
では実際に、木造住宅(再建築価格2,000万円)を例に、
築年数ごとの固定資産税がどのように変わっていくかを見てみましょう。
ここでは、木造住宅の「残存率」をおおまかに
- 築10年 → 約80%
- 築20年 → 約50%
- 築30年 → 約20%
と仮定して計算します。
🧮築10年の家
再建築価格:2,000万円
残存率:約80%
評価額 = 2,000万円 × 0.8 = 1,600万円
固定資産税(1.4%)= 1,600万円 × 0.014 = 年間 約22.4万円
築10年ほどなら、まだ家の価値は8割程度残っており、固定資産税も比較的高めに維持されています。
🧮築20年の家
再建築価格:2,000万円
残存率:約50%
評価額 = 2,000万円 × 0.5 = 1,000万円
固定資産税(1.4%)= 1,000万円 × 0.014 = 年間 約14万円
築20年を超えると、建物の価値が半分程度になり、税額も下がってくるイメージです。
🧮築30年の家
再建築価格:2,000万円
残存率:約20%
評価額 = 2,000万円 × 0.2 = 400万円
固定資産税(1.4%)= 400万円 × 0.014 = 年間 約5.6万円
築30年ともなると、建物としての評価はかなり低く、税金も新築時と比べて大幅に下がっています。
🔸実際の評価は3年ごとに見直しされる
建物の固定資産税評価額は、毎年減っていくわけではなく、原則3年ごとに見直し(評価替え)が行われます。
総務省が定める「固定資産評価基準」に基づき、各自治体の職員が現地調査や資料をもとに再計算します。
つまり、
- 新築時:初回評価(最も高い)
- 3年後:減価償却を反映して評価見直し
- 6年後、9年後…と3年ごとに調整
というサイクルで少しずつ下がっていくのが一般的です。
🔸リフォーム・増築すると評価が上がることも!
一方で、減価償却で下がるだけではありません。
外壁や屋根をリフォームしたり、増築して建物の価値が上がると、評価額が上がり、固定資産税が増えることもあります。
たとえば…
外壁を張り替えた
水回り(キッチン・浴室)を新品にした
太陽光パネルを設置した
カーポートや物置を追加した
これらは「家の価値を高める工事」とみなされる場合があり、翌年度以降の評価額が上がることがあります。
🔸建物の固定資産税が下がりきるタイミングは?
建物は、法定耐用年数を過ぎると「これ以上は下がらない」という最低限の評価額(残価)に達します。これは再建築価格の数%程度で、完全に「0円」にはなりません。
古い家でも、建物としての課税は残る点に注意しましょう。
🏁 9. まとめ|建物の固定資産税は「時間」と「構造」で変わる
建物の固定資産税は、減価償却によって毎年少しずつ下がる
減価償却のスピードは構造(木造・鉄骨・RC)によって違う
3年ごとに評価額が見直される
リフォームや増築をすると評価額が上がることもある
家を所有していると、毎年の固定資産税は気になるものです。
「なぜ下がるの?」「どのくらい安くなる?」といった疑問を理解しておくことで、長期的な住宅の維持費も見通しやすくなります。
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